特集/コラム
「和食を楽しむ環境があればどこにでも進出したい」ダグラス・フーさん(サカエスシCEO)
シンガポールの至る所で目にする、緑のカエルマークが目印のすしレストランチェーン「サカエスシ」。現在国内40店舗、海外は中国、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどのアジア各地から、昨年はニューヨークにも進出し、総店舗数は63に上る。その「サカエスシ」含めた9つの和食レストランチェーンを世界中で展開するApex-Pal International(1996年設立)のCEOダグラス・フーさんにお話を伺った。
―まずは「サカエスシ」の事業について簡単に説明してください。
「シンガポールでは和食はヘルシーだという認識がここ10年で急速に高まっています。またシンガポール人は近年特に健康に気をつけるようになり、この先10年もその傾向は続くでしょう。サカエスシではそのヘルシーな日本食の代表である『すし』を中心とし、世界各国のお客様の要望に応えた結果、今や200種類を超える和食メニューを取りそろえています。そしてわが社の事業では西洋方式のシステムを導入しつつ、アジアの価値観をうまくミックスしています。つまり私たちは最先端のIT技術を取り入れながら、企業理念として『従業員とその家族に対して責任をもつ』ということを最重要課題として掲げています。我々は1,000人以上の従業員、そしてそれを養っている家族を含めると約3,000人に対して責任があります。従って、彼らの能力、希望に応じてキャリアアップ、昇進などの機会を与えています。グローバルな企業にあるステップとして、これは欠かせないでしょう」
― 「サカエスシ」は何故、これほど人々に受け入れられてきたと思いますか。
「私たちがビジネスを始めた頃は、和食レストランはそれほど目新しくありませんでしたが値段は非常に高かったものです。その中で庶民にも味わえる低価格ながら質の良い、かつヘルシーなすしを提供したいと思っていました。それを目指して努力してきたことが今日のサカエスシの繁栄につながったと思います。そして今や、子どもたちも健康食に目を向けるようになってきました。ご両親としてもヘルシーなすしを始めとした『和食』と『ジャンク・フード』、どちらを子どもに勧めますか?明らかでしょう」
―企業名(サカエスシ)と緑のカエルマークの意味は何ですか。
「ご存知のとおり『サカエ』は日本語で繁栄を意味します。従ってわが社もグローバルな企業として成長していくことを目指しています。カエルのマークは、常に事業が上向きにジャンプするようにという意味が込められており、緑はコーポレートカラーのヘルシーダイニング(健康食)を表します」
―ご自身のキャリアについて教えてください。
「オーストラリア・メルボルンのRMIT大学でビジネス・アドミニストレーションとファイナンスの学位を取得した後、シンガポールの東急コーポレーションで働いていました。東急では日本人の同僚もいましたが、それ以前にメルボルン留学時代に選択科目で日本語を学んでいたことが日本に興味を持つきっかけになりました。その時のオーストラリア人講師が20年以上も日本に住んでいたので日本文化に精通しており、彼から日本の良さ、そして日本式の経営方法などを学びました。それが今日のサカエスシを初めとした事業の経営に役立っていると思います」
―今後のビジネスプランを教えてください。
「80%は現行事業の拡大、残りの20%は新しいブランドの構築を考えています。家賃、労働賃金の急激な上昇に対応する必要がありますし、何より1,000人以上の従業員を同じ目標に向かって導いていかなければなりません。海外への店舗展開は今後、ベトナム、モンゴル、ドバイ、ロンドン、ウィーン、ブタペストなどを検討しています。すしレストランを経営するにあたっては、それほど教育がいらないことがいいですね。何故なら誰もが『すし』を知っていますから。和食を楽しむ環境があればどこにでも進出したいです。5ツ星のクオリティーで、5ツ星以下の値段で料理を提供していきたいと思っています」
―モットーはなんでしょうか。
「若いころはハードに働き、億万長者になった後、早期リタイアすることを考えていました。でもビジネスで世界中のさまざまな国を訪れるうちに私の世界観は変わりました。この地球に65億もの人々が同じ空気を吸って暮らしていることを考えると、その一人として地球環境に役立つことをして生きていきたいと思うようになりました。ですから私にとっては何時間働こうと関係ありません。働くことも人生の一部であり、それをエンジョイしていきたい。IT、グローバリゼーション、すべてが環境に関ってきます。私は幸運なことに先進国で生まれ何の不自由もなく暮らせますが、何か環境に貢献できることをやりたいと思っています」
―余暇は何をして過ごしていますか。
「家族と過ごしたり、スイミングをしたりしています。シンガポールは小さな国ですが、実際には多くの自然があります。そこを妻や子どもたちと訪れるのが好きです。後は子どもたちとなるべく多くの時間を過ごすように気をつけています。そうすることで彼らが社会で責任を持てる人間に育つようにと見守っています」
Douglas Foo(ダグラス・フー)さん:1969年生まれ。オーストラリアのRMIT大学で学んだ後、東急コーポレーションのマーケティング部門で働く。1996年にApex-Pal Internationalを設立して以来「サカエスシ」をはじめとした和食の飲食事業を急速に展開している。
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