特集

【連載】SingaLOCALife vol.9
建築デザイナー 藤堂高直さんと巡るシンガポール建築の世界

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 前号から3回にわたって「シンガポールの建築」をテーマにお届けしています。シンガポールには 特徴的な建築がたくさんありますが、その意味をご存じですか? 当地の設計事務所DPアーキテクツに所属し、活躍する建築デザイナーの藤堂高直(たかなお)さんに「シンガポールの現在、過去、未来」というテーマで、特に際立つ建物をピックアップして解説していただいています。最終回は「シンガポールの未来につながる」建築。

 「シンガポールの未来につながる」特徴の一つは、高温多湿の環境の中で「どれだけエネルギーを使わずに、環境とうまく共存していくか」。それと共に、緑が多いガーデンシティの特長も生かして「緑化」も重

要なポイントです。

 南洋工科大学の中にあるThe Hive(通称=DimSumビル)は「現代のダヴィンチ」とも呼ばれるデザイナーのトーマスヘザウィックが手掛けた非常に特徴のある建物です。中の壁や柱は湾曲した有機的なデザインで、配管がむき出しになっており、建物のほぼ全てが吹き抜けになっています。全体が吹きさらしになっていて風が横から抜けていくので、中は意外と涼しく、さらに外には緑も多く、とても心地いい空間になっています。

The Hiveと同様にシンガポールの未来を代表する建築が、奇抜なデザインの巨大なコンドミニアム「インターレース」。空から見るとハチの巣型にレイアウトされているのが特徴。一棟が直方体をしていて、それ自体5?6階建てであるのに、その上にまるでジェンガのブロックのように31の住棟が順番に重ねられています。ここも、庭やプールなどの屋外スペースには緑が豊富。

余談ですが、当地で延べ床面積が増えるごとに高額な税金がかかります。しかし、無料で増やす方法があります。それは緑化率を高めること。「ガーデンシティ、シンガポール」で建築物を建てる際、ますます「緑化」が重要になってくることは間違いありません。

今開発中のエリア「ワンノース」も注目スポット。街を開発する際、大きく2つの方法があります。一つは、碁盤の目のように規則的に作るやり方、もう一つは、勾配やうねった道など有機的な形状。ワンノースは後者を取り入れているため、道がうねっていたり、建物の屋根が勾配状になっていて、波打つようなデザインになっていたり、計画内には至る所にユニークな意匠の建物があります。奇抜な建築の多いシンガポールの中でも、特にこのエリアは街全体が独特で、未来都市を感じさせます。

これからのシンガポールは、今まで以上に環境、特に「緑との共存」がテーマ。どんどん進化していくこの国を「建築」のテーマから眺めてみると、いろいろな側面が見えてきますよ。

(秦野)

藤堂高直

1983(昭和58)年東京生まれ。15歳で渡英。2008年に建築の名門大学AAスクール卒業。ロンドン、ミュンヘン、パリ、東京での経験を経て、現在シンガポールのDPアーキテクトに所属。

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